海外暮らしの戸惑い(イギリス編)

欧州

海外暮らしを始めると勝手の違いに戸惑うことが多く起こります 自分の初任地イギリス駐在時の経験談をお話します

イギリスの銀行では、お金の重さを量り両替する?!

そんなことあるの?

1993年にイギリスに赴任した当初、給与振込等のため、イギリスの銀行口座を開設する必要がありました 銀行窓口でその手続きをしていると、隣の窓口に大量のコインが入った袋を持った女の人が来て、これをデポジット(入金)したいとリクエストしました 貯金箱預金か街頭募金のコインか、とにかく大量のコインでした

そうしたら、窓口の中の人が秤を持ち出して、コインが入った袋の重量を量り、じゃあ、19.56ポンドですねなどと言ってる 本当に目が点になるような出来事が起こりました お金を量る?!

当時の日本の銀行は窓口業務終了後、1日の出納額を確認し、10円合わなくても夜遅くまで帰れないと聞いていましたが、日本人の感覚として、お金を重量で勘定するなんてありえない、と思いました

なぜそうするの?

イギリスの通貨であるポンド(GBP £)は、元々は重さの単位(lb)でした 加えて、効率を考えれば、コインを一枚一枚数えて計算するという手間よりも、まとめて重さで勘定する方が早く省人的です 

また、細かいことを気にしない英国人の気質みたいなものもあるかもしれません 有り体に言えば、多少の誤差は損金化すればP/L上も問題ありませんから

ただ、「お金の額を秤で量る」というのを目の前で見ると、とても驚きます なお、今は、スーパーの入り口等にCoinstarという機械があって、これで自動選別してコインの額を計算し、バウチャー(買い物券等)に両替してくれるみたいです(10%程度の手数料がかかるみたいです)

仮運転免許を郵便局で買う?

そんなことあるの?

イギリスは最初の駐在国 日本の運転免許証をイギリスのものに変えるには、翻訳証明があればすぐにできると聞いていたので、会社の総務に申請方法を聞いたところ、「仮免許を郵便局で20ポンドで買って、書類をDVLA(DVLAとは英国の運転免許庁であるDriver & Vehicle Licensing Agencyの略)に送ってください」と言われました

赴任当初でしたので総務の担当者が言ってる英語がよく分からず、また、「provisional licence(仮免許)を郵便局で20ポンドで買う」という説明がどうにも理解できず、とても驚きました

狐に騙されたような気分で郵便局に行き、仮免許を買ってDVLAに申請書を送りたいと言ったら、「20ポンドです」と言われ、申請書類とレシートをもらいました(今は、40ポンド以上かかるみたいですし、やり方も少し変更になっているみたいですので、新たに申請する方は、領事館等にお問い合わせください!)

なぜそうするの?

イギリスはそういうシステムだからとしか、言いようがないのですが、DVLAが現金での支払いを受け取らないというのも理由のひとつであったように思います 郵便システムに自信を持っているという背景もあると思います

この件に限らず、イギリスやアメリカは現金ではなく小切手や書類を郵送で行うことが主たる申請/支払方法であったように感じます 申請書と一緒にオリジナルの身分証明書を送ったりせねばなりませんのでかなりドキドキしますが、自分に関しては、オリジナルの身分証明書はきちんと手元に戻ってきました

1995年1月、阪神淡路大地震を一緒にテレビで見てて、日本ではなんで略奪や強盗がないの?と聞かれました

高速道路の高架が崩れたりしてるのに、なぜ略奪や強盗がないの?と聞かれました!

日本ではそういうことは起きないのです!と答えましたが、フツー起きるでしょというのが、彼らの感覚でした それが起きない日本って、なんで?とシンプルに不思議に思ったみたいです

考えてみれば、世界の種々の災害現場では、商店の窓ガラスを割って我先にと入り込み、商品を盗んだりする行為が見られます 彼らにとっては、それがフツー それが起きない日本は、何か理由があるのか(例えば災害現場でそのようなことをすると死刑になるとかの重罰を科せられるとか)と考えたみたいです

なぜそう思うの?

根っこには、人間は平等でなく、クラス社会で低いクラスの人間は、そういうことをするものだという考えがあるように思います 普段は法治社会が罰則を伴う法律によってそれを止めているが、社会機能が失われた場合、法治機能も失われるという理屈です

日本は法治社会だからやらないのではなく、教育によってやってはいけないと教えられているし、やることを諌める民度の高さがあると思います ただ、平時においては個人主義が基本の欧米の方が自由に発言できる風土があったりしますので、どちらが良いかという視点ではなく、「違う」という理解を持つことが肝要であろうと考えます

したがって、この現象は、社会構造の違いであるという捉え方をするべきかもしれません

あとがき

なぜ日本の駅は街の真ん中にあり、イギリスの駅は街はずれにあるのだろう?と思ったことがあります

イギリスの駅は街を作った産業革命後に作られたので街はずれに作るしかなく、日本の鉄道は世界史的には産業革命後である明治維新以降に敷設されたので、駅を中心に街づくりが行われたからというのが理由ですね

歴史や社会構造の違いや、考え方の違いがあって、システムの違いが起きます 他国に駐在するとその違いを体験しますのでとても戸惑いますが、その戸惑いや学習が、私たちが他国や他者を理解するグローバル化の基礎になっていくと考えます

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