アメリカ編のVol.4は、米国人の意外とDomesticな部分と、米国社会が持つ差別やハラスメント対応の日本との違いについて書きます
意外にDomesticな米国人
パスポートを持っていない人多い
日本人も海外志向はあまり強くないと思いますが、米国人も割と国内主体であるように思います メキシコに入る時にはパスポートがないから出生証明書を持ってきたとか、米国への帰国時、イミグレーションで堂々と「American Passport!」と言って通してもらいますから、すごいですよね
さすがに今は大丈夫だと思いますが、ちょっと前までは、日本にご招待するとき、「ところでパスポートは持っておられますよね?」と確認することが忘れてはいけないポイントでしたw
50州中何州行った?
カリフォルニア工場のランチルームでランチを食べてたとき、R&Dメンバーから「Tonyはアメリカは50週中何州くらい行ったの?」と聞かれたので、「ちょうど半分の25州しか行ってないよ」と答えると、とても驚いたリアクションがありました あなたは?と聞くと、3州かなというので、それは、カリフォルニアとネバダとアリゾナとか?と聞くと、「そんな感じ!」との返事
考えれみれば、我々のようにConsumer Electronicsの地域量販との激しい商談や臨床関連学会参加等がなければ、あまり州外に行く必要はないのかもしれません 特に研究者は、相手が来てくれることが多いので、自分から州外に出ることが少ないと思われます
地域性の違い、地域ごとのプライド
巨大な単一市場を形成する米国市場ですが、地域ごとに特徴があり、他の地域へのライバル意識や蔑視があります
東海岸
東海岸NJに住んだとき、食堂で老後はどこに住もうかとアメリカ人どうしが話していて、多くのメンバーが温暖なフロリダがいいと言っていることに疑問を持ち、「フロリダは温暖だが、ハリケーンが来るし、湿度が高くてじめっとしてる もっとカラッと晴れるカリフォルニアへ行こうと思わないの?」と聞いたところ、「Tonyには分からないだろうけど、自分たちは、アパラチア山脈から向こうは別の国だと思ってるから、そんな未知のところに行くのは、考えもしないことなんだよ」と返されました
これが東海岸の人の本音 自分たちこそが米国発祥13州のコア地域という誇り 住まないと分からないコメントでした
中西部
前職でアメリカのJazz Festivalのスポンサー企業の駐在員だったとき、米国人トップのシカゴ在住Executive VPがNYのガラパーティで挨拶するとき、「自分は、シカゴから来たが」と言った瞬間に多くからブーイングをかまされたと言っていました 中西部と東部の微妙な関係を象徴する小さな出来事ですが、ともに米国の中心は自エリアであるとの意識が強いと思います
中西部は温厚で親切な人が多いです 農業従事者が多く逞しいお父さんがたくさんいるエリア 若い駐在員を中西部に住まわせると、逞しいお父さんや優しいお母さんが本気でケアしてくれて、いつも感謝します
西海岸
陽光降り注ぐカリフォルニア リベラル派が多く民主党の大票田です 東海岸や中西部の極寒のエリアになんか住めないと思っている人が多くいますが、逆に他のエリアからは、税金が高いし緑がないエリア 隣家との距離がとても近くて息がつまるエリアという見方もあります
カリフォルニア州やワシントン州はアジア系アメリカ人の比率が高く、スーパーでは、大根はDaikonとして売っていますし、デコポンはSumoとして柿はFuyuとして売ってますから、東海岸から西海岸に引っ越すと日本が近いことを実感します
地域の特性や事情を理解すること重要
ヨーロッパを一括りにして話すことが難しいように、アメリカの国内事情を話したりアメリカの現地法人をまとめていく上では、地域の事情をよく理解する必要があります
日本からは「アメリカ」として見る部分が多いと思いますが、広大な国土をもつ移民大国ですから、地域ごとにいろんな事情があることを理解することが重要です
差別、ハラスメント
差別
米国での対応
米国は、差別に対してとても敏感です 人種だけでなく、性別、年齢、宗教等、様々なことを気にしないといけません 以前、米国での新規採用について東京の本社で最終承認を行うというちょっと無謀な要請を受けましたが、履歴書に年齢はもちろん、性別も書いていないので、日本側が大いに困ったという顛末がありました
「新体制は世代交代を加速させる」というのも、年齢差別に当たる表現があるので不適切ですと人事に言われ、中期計画のPPT資料を書き直した経験があります そこまで神経質にならなくてもと思いますが、訴訟を起こされては困りますし、年齢で差別する楽しくない会社だと思われるのは心外ですので、大人しく従いました
日本は、「女性活躍」をセットアップせねばならないタイミングですが、私が勤務した米国現法は、社員の半分は女性でしたし、管理職の半分が女性でした 女性社員の評価が高かったので、年収平均も女性の方が高かったと記憶します
日本での対応
日本ではこれから少子化による経済の減速が懸念されます それを補う政策として、女性活躍やシニアの活用があると思いますが、外国人の雇用も積極的に考えねばならないと思われます
ただ、それができるインフラや考え方は、まだ日本には備わっていないように私見します 我々がもっとグルーバルに活躍できる人材を育てたり、外から日本に入って来る人材を上手く活用するコミュニケーション方法を確立させていくことが重要であると思われます
かなりチャレンジングなことですが、日本のグローバル化を進めていければと思います
ハラスメント
私もやられました
以前、ダルビッシュへのポーズで問題になったつり目ポーズですが、実は、私もやられたことがあります
用事があって車でモールに出かけ、帰りにモール駐車場から出る時、出口と思っていたところが入り口でした ただUターンできないので、入って来る車に少し待ってもらって道路に出ました
待ってもらった車にThank youといいかけ、可愛い女の子のドライバーが両手をこめかみに当ててるので何をしているのかと見たら、つり目ポーズでした
それまであまり人種差別的なことをやられた経験がなかったので、最初は何か分からず一瞬「は?」となったのですが、1秒後にそれが何を意味するかわかり愕然となりました 所謂東洋人への蔑視ポーズなのだと思いますが、アメリカってやはり差別社会なのだなと実感した日でした
アルハラ
日本特有のハラスメントに、アルコールの強要、アルコールハラスメントがあります アジアの文化であると思いますが、これは下戸には厳しいことです 私も下戸なのですが、体が受け付けないものを、連帯意識がないとか、好意を受け付けようとしないとか、男らしくないとか、いろいろ酷いことを言われました
分からない人は、何度、体が受け付けないと説明しても分からないみたいで、酒の訓練が足りないんだと言われます 目の前のテーブルにゲロを吐き散らしたらわかってもらうのかもしれないと思ったことがありますが、静かに距離を置く方が大人の対応ですね
とても尊敬していた方が、この点をご理解いただけなくて、お別れせざるを得なくなったことがありますが、辛いお別れでした
あとがき
米国内の地域の特性や自意識、また、米国社会が持つ差別、いろんな社会が持つハラスメントの具体例について書きました 米国暮らしの戸惑いというテーマですが、回が進むにつれ中身がリアルになってきたように思います
市民として暮らす上で、多様性を認め合うこと、無理強いしないこと、相手を思いやることは、洋の東西を問わず、とても重要なことですね
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