海外暮らしの戸惑い(アメリカ編Vol.3)

アメリカ

Vol.3では、食のこと、病気のことを書いてみます アメリカ生活はかなり勝手が違いますので戸惑いますが、わかってしまえばさすがだと思う部分があります!

巨大な炒飯

これ、どうやって食べるの?

アメリカの中華料理はシェアすることが前提です また、アメリカのレストラン全体に言えますが、レーティングされる時に「量が少ない!」という減点ポイントを回避しようとします そうするとどうしても量が多くなりますが、住んだエリアも例外でなく、この炒飯も4人分くらいの量です

基本的に「大きいことはいいことだ!」の国ですから家も車も道路も食事も大きく、一人で注文すると食べきれません で、翌日以降のお弁当に活躍してもらうことになりますw

銀座アスターでの失敗

アメリカ駐在員あるあるかもしれませんが、ちょっとした失敗談を!

日本に一時帰国をした折、義理の母を誘って銀座に出かけ、銀座アスターでランチを食べました うちの夫婦&子供の4名と義母の5名でしたので、アメリカの中華料理店のつもりで一品料理を4つほどと五目炒飯を頼みました ひょっとしたら、食べきれないかもしれないと心配しながら

そうしたら、小さいお茶碗1杯分くらいのママゴトのような炒飯が出てきて、5人で分けるとそれぞれが2匙分くらいしかなく、大変赤面したことがあります 他の皿も、お皿に上品に盛られ、5人で分けるにはとても少ない量でした

なんか、ドケチ家族みたいな振る舞いに見えたかもしれません まさか、「あ、アメリカから来てまして」なんて言う訳にいきませんから、慌てて焼きそばを追加発注したりして誤魔化しました!

唾石症

長く住むと病気になることもあります 食事の後、喉の左側(写真のモデルは右側ですが)がぷくっと膨れるようになりました 痛みはなく30分くらいすると腫れが引いて元に戻るので緊急性はないように思いましたが、やはり気になってネットで調べると唾石症といって唾液腺が詰まる病気らしいことを知りました

耳鼻咽喉科での診断

近所の耳鼻咽喉科に予約をとり相談をしに行くと、確かにsialolithiasis(唾石症)という診断でした 原因はわからないが、唾液腺にカルシウム等の石化したものが挟まり、それがブロックして分泌された唾液が口に届かず喉で止まるから腫れているように見える症状だとのこと

まずは、マッサージをして治してみようとなりました 膨れてるところを下から上にマッサージをして結石を唾液腺を通して口中に出してしまおうということでした

耳鼻咽喉科での治療

2ヶ月ほどマッサージをしていましたが治らないので、外科的な治療をしようということになりました 先生に聞くと、基本的に2つの方法があるとのこと 一つは、首の外からメスを入れて、唾石を掻き出すやり方 もう一つは、内視鏡で取り出すやり方 どちらも全身麻酔でやりますとのこと

ただ、前者は、手術跡が残るし喉を切る時、顔の神経を痛めてたまに顔面神経痛になることがあるので勧めないと言われました では、後者をやってください ところで、唾液腺なんて目に見えないような細い管に内視鏡が入るのですか?と聞くと、だから内視鏡手術はここではやりませんとの答えでした

どこでやるのですか?と聞くと、自分が紹介文を書いて、ラホヤのUCSD(University of California San Diego)の専門医に執刀してもらうとのことでした 全身麻酔で手術するけど、日帰りの手術ですとの説明でした

UCSDでの手術

朝7時から手術ということで、友達に迎えに来てもらい、5時に家を出て、6時に現地に着いて、準備しました ラホヤのUCSD病院は、ハイアットホテルのような立派さで、素晴らしく近代的 病院らしくなくとても面食らいました

受付のロボットに1,500ドルの手術代デポジットを払って、前室に行って手術着に着替えました いろんな書類にサインして、手術の時間を待ちました

宇宙船の中はこんな感じかなと思うような未来的手術室に入り、Tony大丈夫?と先生に言われてはいと返事をしたように思いますが、そのわずかな時間でストンと落ちました で、気がついたら手術は終わってて術後室で目覚め、石は30分ほどで取れましたとのことでした 唾液腺に風船状のものを入れて通路を膨らまし、内視鏡で結石を取りましたとのこと

そうこうしてたら、友達が来て、「割と早かったみたいね 今日は刺激物はダメだって先生が言ってたよ 1週間後に術後検査に来なさいって!」とか言いながら、まだ麻酔でフラフラしている私を助手席に乗せて、自宅に送ってくれました

1週間後の術後検査時に若い執刀医に聞くと、割とこの症状は多いとのこと 遠くはアリゾナ州から手術を受けに来てるから、ここ(UCSD)は結構人気があるんですよとのことでした

かかりつけのクリニックでの定期検診

手術から3ヶ月後にかかりつけクリニックで毎年の定期検診を受けました カルテHistoryを確認してたホームドクターの先生が、「Tony手術したんだね 唾石症か 大丈夫?」と聞いてきました こういうところは、さすがアメリカ ネットワークによる情報共有がしっかりされてて、患者の疾病治療状況がリアルタイムで閲覧できるようになっています

大丈夫だと答えると、アメリカの水はミネラル分が多いから、それが原因かわからないけど、気をつけてね UCSDの手術は良かったでしょ 評判いいからと言われました

いい加減なところも間々あるアメリカですが、手術の技術も含めて、こういうところはやはり一流ですね 

高額医療費

請求書受領

手術後の1ヶ月検診が無事終わりしばらく経った頃、バラバラに請求書が届きましたが、最後にサマリーが届きました 全部で17,972ドル(今のレートで約250万円)でした

アメリカの医療費は高いと聞いていましたが、本当に高いですね 私は医療保険に入っていましたので個人負担は1,500ドル(約21万円)ほどで済みましたが、やはりお金がないと高度医療の手術を受けることができない国なのだと思いました

クラス社会の現実

クラス社会の現実がここにあります 国民皆保険制度が行き渡っている日本では想像できない厳しさです 医療保険に入っていない人や、高額の手術費はカバーしない付保内容になっている医療保険しか提供していない会社等、実際は高度医療ケアを受けることができない人が多くいます

貧富の差が広がったと言われる日本ですが、アメリカ社会の格差はそのレベルではありません アメリカ人にも違和感を持っている人もいますが、ベースにクラス社会がありますから、現状のスキームを肯定する人が主流です

アメリカは救急車を呼ぶことも有料です 弱者に厳しい社会であると言えます しかし、世界のトップを走る国であり企業群です 新型コロナウィルスのワクチンはFDAの素早い認可もあり、米国企業から世界中に供給されました

この厳しい競争社会での真摯な取り組みが米国経済を活気づかせ国を富ませている部分があるように思います 国民皆保険制度というちょっと社会主義的な制度とは異なる米国システムですが、どちらがいいかということではなく、やはり「違う」という理解を持つことが重要であると思います

あとがき

炒飯の話、唾石症の手術の話、アメリカの高額医療費の話を書きました 若い頃の駐在や5−6年の赴任期間では経験しないことも、ある程度年齢を重ねた比較的長い米国生活で経験することがあります  

Vol.1/Vol.2でも申し上げましたが、日米のどちらのシステムがいいかという視点ではなく、「違う」という理解を持つことが必要です

違う文化やシステム内で暮らすと戸惑うことが多いですが、異なる価値観を学ぶ貴重な経験をさせてもらいました

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